1000年先の慰霊モニュメント
物だけでなく場所の記憶を残す
2011年3月11日。
東日本大震災は1000年に一度の大災害であり、その慰霊空間には、犠牲者を追悼するとともに、次の1000年に向けて、この地で起こったことを伝えていく使命があります。その永い時間軸のなかで、慰霊空間は、遺族や子、孫といった数世代まで直接的に伝承していく「近未来」と、物や形が消えても語り継がれていく「遠い未来」といった様々なフェーズを想定しなければなりません。
慰霊空間のコンセプト
01:残された者と犠牲者が「心を通わす」空間
02:慰霊をとおして、自分の「生」と向き合う空間
03:「場所」で記憶する、時代を超えて震災を語り継ぐ空間
04:背景の海や山、自然への敬意・畏敬の年を想起する
05:一つの対象物ではなく、面的な広がりを持つ空間
06:回遊性のある居心地の良い「場」をつくる
同心円状の重なりが象徴的な広場をつくる。
雄勝石の帯をまたぎ、中央にある慰霊碑に向かうことで、神聖な慰霊空間を演出します。慰霊広場の「動」的な空間から、石の砂浜を抜け「静」的空間へ。石のモニュメント越しに、海、対岸の山並みと、徐々に自然へ還っていく視線の先で慰霊碑に対峙するよう計画しました。