小島集会所
漁村集落において、人の集まり方を考える
雄勝で設計に関わる3つめの地区集会所
石巻市雄勝町小島地区の高台移転地は、被災した従前の集落から少し北東へ進んだ、雄勝湾に突き出た小さな尾根の上に造られました。戻ってきたのはわずか8世帯。とても小さな団地です。
集会所の敷地は住宅地の中心に位置し、日常的な利用が予測されました。地区会長へのヒアリングを通して「広間」「和室」「キッチン」「水回り」といった必要諸室が想定でき、これらは先に建設した桑浜総合センター(2015)や熊沢コミュニティセンター(2016)と同じで、漁村集落における人の集まり方が少しずつ分かってきました。
雄勝における集会施設の必要諸室
①大広間:総会など地区住民全員が参加する会議等で使用する(1〜2回/年)
②和室:婦人会や部会など、小規模な集会に使用する(1〜2回/月)
③キッチン:地区のイベントで浜のお母さんたちが海の幸を料理する
④水回り:集落を訪れた親戚やボランティア、災害時の一時的な避難などを想定
⑤収納:祭り道具・長机・パイプ椅子・防災用具など物が多い
そして新たな機能として、内と外をつなぐ「土間」
「必要諸室+土間」を組合せ、各浜の小さな差異を見逃さずに配置・設計すると、似ているようで少しずつ異なる、漁村集落らしい人の集まる居場所と、そのバリエーションをつくることが可能です。
間取りは、建具の開閉に応じて一体的に利用できる「大広間・和室」からなる集会スペースと、「キッチン・水回り」の2つのボリュームを、敷地に沿わせて角度を振って配置し、土間でつないでいます。2つのボリュームにまたがって変形切妻の屋根をかけ、内部空間に伸びやかさと多様性を創り出しました。